こんにちは、ぽふです。
今日は最近製作したジャケットをご紹介します。
『粋で鯔背(いなせ)なジャケット』名付け親ぽふ
趣のある藍染の古布に、ハギレを並べて刺し子をしました。ハギレは、型染め・縞木綿・雪ん子絣など合わせて配置し、刺し子もいい塩梅で仕上げました。
はじめから粋なジャケットを作るつもりはありませんでしたが、結果、粋でいなせなジャケットに仕上がりました。
「粋でいなせ」とは、江戸っ子の褒め言葉で、日本人特有の美的観念を表す言葉になります。この作品をインスタに投稿する時に、改めてこの作品を見て「粋でいなせな作品になった」とはじめて思いました。
粋なものを作ろうと思ってつくるのは粋じゃなく、それは野暮です。それを身をもって知りました。
ハギレをペタペタ貼りずぎるのはダサい、じゃあどの程度まで減らすのか?そこが面白いところですね。刺し子を大量にするのもいいってもんじゃない、不必要なハギレはいらない、このジャケットを作りながら感じたことです。
裏面は柿渋染めの手ぬぐいで
裏面は柿渋染めの手ぬぐいを使い、リバーシブルになっています。今回はじめて手ぬぐいを使用しましたが、思ったよりうまく出来たと思います。また、良い色合いの柿渋染めの手ぬぐいに巡り合えて、よかったです。
サイドには灼けた唐草模様の風呂敷を使い、アクセントにしました。
ボロボロの襤褸ファッションについて
今回、穴の開いた襤褸のハギレを使い、「襤褸」に対して向き合ってみました。
襤褸布とは?
襤褸布とはどんなものさすのか?
ネット検索では、①使い古しの布。 ぼろきれ。 ②着古して破れた衣服。 また、つぎだらけの衣服。と表示されます。
ボロボロの襤褸
人によって「襤褸」の定義は違うと思いますが、ここでお話しする「襤褸ファッション」とは穴だらけのボロボロのもので、何の跡なのかわからないような不衛生な環境にあったと思われるような襤褸布を使ったファッションのことです。また、襤褸(らんる)、つづれとも呼ばれるようです。
そのような襤褸には抵抗感があり、その「襤褸ファッション」の良さが分かるまで、今はまだ時間がかかるかもしれません。はっきり申しますと「襤褸ファッション」はむかしの貧しい人々への冒涜だと思っているひとりです。
ですが、これは個人の感想になります。人ぞれぞれ色んな見解があって、いいことだと思っています。
ボロを着てても、ココロは錦?
古布を手にとるようになってから知ったことですが、むかしの人は穴が開いている部分があれば上手に当て布をして補修し、本当に綺麗な状態に繕っていました。補修した跡がわからない程に。
むかしの人が何を大事にして生きてきたのか、その心が伝わります。
『ボロを着てても、心は錦』なんて言葉が日本にはありますが、アメリカにはそれに相当する言葉はないそうです。ボロ着はその貧困や貧しさの記憶がそのまま残っているだけで、「襤褸の美」「無作為の美」などを思う以前に、厳しい環境の中、身を寄せ合って着飾ることもなく、それを着るしかなかった当時の人々を思うと胸が痛むからです。
穴のあいた襤褸のハギレを生かしたい
じゃあどうやってこのハギレを生かすのか?そこが作家としての醍醐味になりますね。
背面に配置した襤褸のハギレは大きく穴が開いていました。また蝶紋の家紋になり、大切に生かしたい、そういう思いで刺し子を刺させて頂きました。
特に家紋は、遠い遠いご先祖様との繋がりのように思います。家紋には、そういった日本人の心と魂が宿っているとも思いますので、恐れ多い気持ちで刺し子をしました。
作品を作りながら思うこと
古布リメイク作品を作りながら思うことがあります。
それは、『古布創作は、清く正しく美しく』この言葉にすべて尽きると思います。その人の作品を見ると、その人の心の中が見える「写しかがみ」のように思えるのです。
良い作品をもっと作りたいと思っています。